弊社では、モビリティをはじめ、様々な商品・サービスについての調査・研究を通じて培った、マーケティングに対する知見と定量・定性的なリサーチのノウハウを生かし、様々な企業様などに対して、最適な調査と活動を実現するための支援・コンサルティングサービスを提供しています。
マーケティング調査の難しさ
マーケティング調査には、実は様々な難しさあり。間違った調査結果と考察に至ってしまうことが多々あります。
間違った結果と考察は予算の無駄のみならず、誤った企業活動に結びつき、大きな損失を与えるリスクも。
間違った調査結果とその帰結の事例
間違った調査結果 | 調査結果の帰結 |
---|---|
市場(需要)ボリュームの読み誤り | 商品の作り過ぎによる損失、もしくは過少による機械の損失 |
商品やサービスのターゲット選定の失敗 | 訴求相手の間違いによるプロモーションの非効率化 |
商品やサービスの過大(過少)評価 | 商品の改良が必要なタイミング・内容の把握失敗による損失 |
商品やサービスの訴求ポイントの把握失敗 | 効果的な訴求ポイントの把握失敗による非効率化 |
なぜ失敗するのか?
マーケティング調査を失敗する理由にはパターンがあります。一方で予算制約などから、「完全な」調査は困難です。
間違った調査結果になってしまった理由の類型
間違った調査結果 | 主な要因 |
---|---|
市場(需要)ボリュームの読み誤り | ・市場母体に関する二次データの活用不足 ・調査における割付や集計における重みづけの欠落・間違い |
商品やサービスのターゲット選定の失敗 | ・調査票における、必要な設問項目の欠落 ・セグメンテーションとターゲティングのための分析力不足 |
商品やサービスの過大(過少)評価 | ・消費者のニーズベースでの競合商品・サービスの把握不足 ・統計的検定など、商品比較のための分析力不足 |
商品やサービスの訴求ポイントの把握失敗 | ・調査設計の失敗(質問の限定化など) ・回帰分析など、訴求ポイント把握のための分析力不足 |
マーケティング支援サービスの内容
全体的な流れ
目的の設定と適切な調査・分析法の選定
- マーケティング活動は一般的に、事業領域設定、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)、マーケティング・ミックス政策から形成される。各段階にはそれぞれ明確な目的があります。
- 各目的に対応した、適切な調査法と分析法を選定、ご提案させていただきます。
目的の設定と適切な調査・分析法の選定
- マーケティング調査には様々な方法論が存在します。
- それぞれの長所を理解し、調査上の留意点を意識しながら、課題の特性に応じて使い分けること、組み合わせて相乗効果を出すことを企図した提案を実施させていただきます。
主要な調査の種類
目的 | 長短 | ||
---|---|---|---|
デスクリサーチ | 対象市場のボリュームや構造と競合商品情報、トピックなどの把握。市場予測のための分析も含む。 | 対象市場の全体像や動向を把握。既に必要な知見がある場合も。比較的低コスト。 | |
定性調査 | 有識者ヒアリング | 競合や今後の動向など緻密に把握可能。 | |
フォーカスグループインタビュー | 仮説構築、調査項目の把握、希少なターゲットユーザーの動向把握等 | 相乗効果見込める。立入った話は困難。 | |
デプスインタビュー | 立入った話は可能。調査数に限界。 | ||
会場調査 | 商品(案) 、サービス等を直接評価 | 相対的にコストがかかる。調査数に限界。 | |
定量調査 | インターネット調査 | 商品・サービスの保有率から使い方、評価、満足度、背景にある意識、属性の把握等。 | 低コストで大サンプルに調査可能。不明値等が少ない。対象者に偏りがある場合あり。 |
電話調査 | 低コストでランダムな配信可。設問数や聞き方などに限界あり。 | ||
訪問・留置き調査 | 地域限定や高齢者などネットに弱い対象者の場合に強い。コストがかかる傾向。 |
調査上の留意点
マーケティング調査はほとんどの場合サンプリング調査です。サンプリングの際には、必ず誤差が発生します。
誤差には「ランダム誤差」と「系統誤差(バイアス)」の二種類があります。
誤差を制御しながら、「調査したい対象全体」の特性を正しく推測することが必要です。
サンプリング調査の構造
調査したい対象全体(母集団)の特性が知りたい場合の図です
生じる誤差の種類と対処法
ランダム誤差
サンプリングのたびに偶然生じる誤差
サンプルサイズの大きさで対処
系統誤差
(バイアス)
構造・傾向性をもって生じる誤差
調査法と分析法で対処
系統誤差(バイアス)には大きく分けて、選択バイアスと情報バイアスが存在します。
ウェイトバックなどである程度は対処できるものの、分析段階での制御は一般的には困難です。
系統誤差(バイアス)の種類
調査対象者の選択の際に生じるバイアスです。
- 母集団に対して、調査しやすい相手や自社にとって都合のよい相手などに調査対象が偏ること
調査法や測定法などから生じるバイアス
- 調査対象者に(無自覚のうちに)ある方向の回答を強いてしまうことから生じるなど
- 測定基準が対象者によってズレてしまうことも情報バイアスの一種
交絡因子とは、調査で仮定する原因候補(例えば広告認知)と結果(例えば購入意向)の両方に影響を与え、真の関連とは異なる調査・分析結果を生み出してしまう要因のこと。
交絡因子の事例
交絡因子を考慮しないと、「広告が購入意向に実際よりも強く影響を及ぼす」という誤った調査結果が得られてしまう…
よりよい調査の必要条件は、まずは「信頼性」と「妥当性」を担保すること。
その上でマーケティング調査の場合、有用性(結果から具体的で有効な戦略や活動の方向性を示唆できること) 、メッセージ性(組織内で容易に共有できる分かりやすさ含むなど)も重要。
調査としての必要条件
信頼性
- 再現性
複数回同じ調査を実施したとき、毎回類似の結果が得られること - 方法間整合性
同じ対象を異なった方法などで調査した場合でも、整合性のある結果が得られること
妥当性
- 内的妥当性
2つの事象にある程度の因果関係がみられること - 外的妥当性
一般化できること。調査対象とは異なる人々でも、同様の傾向が得られること
マーケティングへのインパクト
有用性
メッセージ性
調査設計の際には必ず比較の視点を持つこと(ある商品の評価や再購入意向の把握のためには、競合商品ユーザーやノンユーザーとの比較)が必要。
希少な調査対象者獲得と市場全体の動向把握の際には、「割付」と「重みづけ(WB)」が必要。
事例イメージ
商品Aの評価と今後の購入意向者のボリュームが知りたい場合のイメージです。
- マーケティング調査とは市場環境全体との対話であり、調査対象はユーザー・消費者に限定されません。
- ユーザー・消費者調査に限定せず、「誰に」「何を」「どのように」聞くのが適切であるのかを判断しながら、適切な提案を実施させていただきます。
市場の構造と調査法
- 留意すべき市場のアクターは以下です。
- それぞれによって望ましい調査手法、得られる知見は異なります。
リサーチ・デザインの事例
例えば、「ある商品」に対する市場の需要がどの程度あり、今後どの程度見込めるのか、また、「誰に」「どのように」訴求すれば、「ある商品」の普及に対してより効果的であるのか、それは「何故か」を知りたい場合。
①既存情報の収集と整理
- 当該商品市場の情報(現在の売上、シェアなど)と関連するトピックを、行政の公開情報やメディア、クライアント様などから収集。
- 「分かっていること」と「分かっていないこと」の整理とクライアント様との対話などを通じて、調査課題をより具体化。
②市場母体の推計(出現率調査)
- 大サンプル(ex.10万人)に対する数問の調査で、当該商品の「保有」「利用」「購入意向」などを把握。
- 政府の人口動態データと組み合わせて、市場ボリュームを推計。
- 性・年代や属性などから、誰が商品の保有者であり、今後の保有意向者であるのか、ターゲットを把握。
③課題の具体化と仮説の構築(定性調査)
定性調査(インタビュー)で、保有者は「何故」購入しているのか、「誰に」「どのように」訴求すれば、より効果的であるのか仮説構築。
④課題と仮説の検証(定量調査)
定量調査で③で構築した「誰に」「どのように」訴求すれば効果的であるのかについての仮説を検証。
⑤市場規模の将来推計
出現率調査と「地域別将来推計人口」などと組み合わせることで、今後の需要ボリュームを予測。
⑥市場規模のシミュレーション
マーケティング活動改善の結果、今後、どの程度追加で需要を獲得できるのかについてシミュレーション。