地域モビリティの課題とMaaSへのニーズに関する意識調査
自動車業界の専門シンクタンクである株式会社 現代文化研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:須藤慶治)は、今後団塊世代が後期高齢者となり自家用車の運転ができなくなる人が増え、地域の足の確保への懸念が強まることが見込まれる中、地域特性別の移動手段確保における課題や、それを解決する新サービスとなるビジネス(MaaS)についてのニーズなど、意識調査(インターネット・モニター調査、現在自動車保有者対象)を行いました。
以下、ポイントを掲載いたします。
<調査概要>
◇実施時期:2019年4月
◇実施方法:インターネット・モニター調査(全国)
◇調査対象:車を保有する主運転者
◇有効回答数:2,297(車保有状況に応じ、全国からバランスよく抽出)
<調査結果のポイント>
現在の課題
- 公共交通のアクセスポイントと運行間隔は、人口10万人未満都市・町村部では、鉄道駅まで3.5km以上、バスの運行間隔は1時間に1本が平均で、利便性は大都市の1/2~1/5にとどまる。
- 公共交通の利便性評価は全国平均で30%の人が不満を持ち、地域間格差が大きい。人口10万人未満都市・町村部では公共交通の総合的な不満率が45%を超え、特にバスは54%以上とラストワンマイルに課題。
- 自家用車への依存度は高く、自家用車がないと「かなり困る人」は全国平均でも84%、「移動ができなくなるほど困る」という深刻な人は、人口10~30万人未満都市で52%、町村部では73%に及ぶ。
将来のニーズ
- 今後自動車を運転できなくなる人が増え、公共交通の運転手不足も強まる中、住民互助型のライドシェアへの期待は高い。規制の緩和、安全性の担保、合理的料金システムなどの整備に要望が強い。
- 運転手不足やコスト対策になる自動運転のバス・タクシ-へのニーズは、高齢者で高い。但し、安全性に不安もあり、自宅とバス停をつなぐルート巡回など、地域・速度限定ケースへのニーズが強い。
図表1.公共交通の利便性
図表2.行き先別、移動目的別 車が主要移動手段の比率
図表3.自家用車がないと困る程度
図表4.住民互助型ライドシェアへの見方
図表5.規制緩和への見方
(自家用有償旅客運送の対象者拡大など)
図表6.自動運転のバス・タクシーの社会的意義への見方
図表7.自動運転のバス・タクシーの走行ルートで有意義と思うもの
◆調査項目 (36問)
- 自宅からの距離(鉄道駅)
- 自宅からの距離(バス停)
- 自宅からの距離(コンビニ)
- 自宅からの距離(スーパー)
- 自宅からの距離(大型商業施設)
- 自宅からの距離(よく行く病院)
- 自宅からの距離(ガソリンスタンド)
- 自宅からの距離(この車の購入店舗)
- 最も利用する鉄道駅までの主な交通手段
- 最も利用するスーパーまでの主な交通手段
- 最も利用する大型商業施設までの主な交通手段
- 最も利用する病院までの主な交通手段
- よく利用する鉄道の路線の運行間隔
- よく利用するバスの路線の運行間隔
- よく利用する移動手段(通勤・通学)
- よく利用する移動手段(近場の買物・用足し)
- よく利用する移動手段(遠距離の買物・用足し)
- よく利用する移動手段(通院・送迎)
- よく利用する移動手段(趣味活動・近場レジャー)
- よく利用する移動手段(遠距離レジャー)
- よく利用する移動手段(仕事中の移動)
- タクシーの利用頻度
- 鉄道の利便性
- バスの利便性
- タクシーの利便性
- 公共交通総合でみた場合の利便性
- 自動運転のバスやタクシーの実現は社会的に有意義と思われるか
- 自動運転のバスやタクシーを実現する上で重要になると思うもの
- 自動運転のバスやタクシーが走行するルートとして、有意義を思うもの
- 自動運転のバスやタクシーに適した大きさ
- 住民同士の配車サービスについて
- 介護認定されてない人への住民互助型のサービス提供について
- 住民互助型の輸送をしやすくするため規制を緩和することについて
- 住民互助型の配車サービスを増やしていく場合、運転者としての条件
- 移動を助ける仕組みで金銭による対価の望ましいもの
- 居住地域で元気な人が移動に困る人を助けることは現実的か
*注)移動手段の選択肢は、鉄道、バス、タクシー、自家用車、レンタカー、カーシェアリング、バイク、電動自転車、自転車、飛行機、船舶、徒歩のみ、その移動はしないの13区分。
◆詳細についてのお問い合わせ
弊社ホームページの問い合わせ窓口、又はお電話でお問い合わせください。
ホームページ:https://www.gendai.co.jp/
Email:inquiry-ml@gendai.co.jp
TEL:03-3264-6021(代表) 白木又は松下まで
◆現代文化研究所について
現代文化研究所は、自動車と自動車産業から、私たちの「現代(いま)」と「明日(みらい)」の社会・世界を望見する、50年を超える実績を持ったシンクタンクです。
市場構造が大きく変わる中で、国内外を対象に
- モビリティに関わる市場環境や供給側動向・戦略の調査・分析
- 消費者ニーズや流通の新潮流等に関する多様な手法による調査・分析
- 市場の将来シナリオ策定や台数予測
- モビリティ課題に対するソリューションの活動支援
などを幅広く行っております。