ブロックチェーン技術が、自動車産業の新たなビジネスの起爆剤に!

『ブロックチェーン技術を活用した新たなビジネス』
~自動車業界のブロックチェーン活用への挑戦~

ブロックチェーン技術を幅広く利活用しようという取組みは自動車産業にも広がってきている。前回は「商流管理」分野での新サービス-ブロックチェーン技術での輸送データの一括管理・利用による輸送効率化の取組みを紹介したが、自動車産業においても、流通過程における安全性や透明性、交通渋滞の削減や環境保護などの分野で同技術を役立てようという試みが始まっている。

その一つがMOBI(Mobility Open Block chain Initiative)コンソーシアムであろう。このコンソーシアムはBMWやGM、Ford、Renaultなどの完成車メーカーをはじめ、部品メーカーBoschやZFなど自動車関連企業を中心に30社以上が参加して、自動車をより環境にやさしく、安全で、低価格なものにしようと、収集した膨大な自動車関連データをブロックチェーンで管理、共有、利用することを検証している。基礎的活用から発展的活用まで様々な利用ケースが想定されており、将来的には自動運転の実用化に繋げることも視野に入れている。自動運転には、AIのディープラーニングのアップグレードに不可欠な「成長履歴」の正確な記録として、アルゴリズム、学習モデル、学習データが必要だが、業界横断的に収集・蓄積・共有するデータを「安全」「信頼」「透明性」が担保されるブロックチェーン技術を活用することによって、それが可能になると期待されている。

さらに、個別の自動車関連企業でも様々な取組みが始まっている。前出の独Boschは今年で6回目を迎える「ボッシュコネクティッドワールド 2019」において、「イーサリアム」(Ethereum)のオープン型ブロックチェーン技術を活用した、自動EV充電ステーションやスマート駐車管理などの新サービスの開発状況について公表している。

また独ポルシェは自動運転時代を見据えて、独ベルリンのスタートアップ企業「ゼイン」(XAIN)と協力して車両へのブロックチェーンの実装・試験運用に取組んでいる。具体的には、ブロックチェーン技術を採用したアプリで車両のリモート施開錠や、車両充電や安全に第3者による駐車が可能なブロックチェーン技術を使った車載アプリの開発に着手している。

さらに独BMWはブロックチェーンのスタットアップ企業「ドゥーブ」(DOVU)とトークンを活用してレンタカーやリース契約車両のドライバーの移動データを記録・収集することに取組んでいる。

このように、ブロックチェーン技術は金融分野のみならず、非金融分野でも利活用に向けた試行錯誤の取組みが見られる。自動車産業では、様々な周辺・付帯サービスや機能を実用化・アドオンしながら、車両の電動化の利便性の向上や、その先の車両の自動化実現を見据えて、各企業が独自性を競い、また一方では業界がブロックチェーンのスタートアップ企業を巻き込みながら、一丸となって新たなビジネスの有りかたを共創しようと奮闘している。

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