交通事故発生状況-2021年9月

概要

  • 交通事故発生件数は、前年同月との比較では、3月までの減少傾向から4~6月は増加に転じたが、7月は前年とほぼ同水準、8月、9月は減少傾向となっている(図表1)。
  • 交通事故死者数の前年比は、5月までの減少傾向から6月は昨年と同数になり、7月は39人増の120%となったが、8月はやや減少し、9月は前年比85%になった。(図表2)
  • 2019年比での週単位での移動人口減少幅は、4月以降、前年を下回る傾向となっていたが、9月は第4週まで前年より移動人口が抑えられた(図表3)。

〔トピック〕子どもの視野と交通事故

 非常事態宣言による外出自粛やワクチン接種の効果等もあってか、コロナウイルスの感染者数は8月中下旬に比べてだいぶ減少してきた。第六波を危惧する声も少なくないが、このまま減少傾向が続き、一日でも早いコロナ禍の収束を誰もが望んでいることだろう。ただ、以前のような日常が戻ってくるにしたがい、人の移動が増える分、交通事故の増加も懸念される。

 そこでアフターコロナを見据え、コロナ禍の前(2019年)に発生した事故の一例として、歩行者起因による交通事故について、各年齢層で最も多い「違反内容」を確認してみると、12歳以下は「飛び出し」、13~19歳は「横断違反」、20歳以上は「信号無視」となっている。(図表4)
 
 いずれも事故のハッとする瞬間が容易に想像できるが、12歳以下の事故については、子ども特有の要因がある。

子どもの視野

 1960年代にスウェーデンの児童心理学者ステイナ・サンデルスが行った実験で、6歳くらいの子どもの平均的な視野は、左右(横)で90度程度、上下(縦)で70度程度という結果が確認されている。大人の平均的な視野は、左右で150度程度、上下で120度程度あるため、子どもの視野は上下左右ともに、大人の視野の6割程度と、思った以上に狭く、これが子どもの飛び出しや不注意等による交通事故の原因とされることも少なくない。小学校の朝礼や交通教室等で、先生や講師として来たお巡りさんが、道路を渡るときの注意として、首を大きく左右に振って確認する様を〝実演〟をすることがあるが、これは生徒の気を引くためだけの大げさな演技ではなく、実際にそのくらいの確認をしないと子どもには見えないという意味もあるのだろう。ハンドルを握る側も、子どもが視野に入ったら「クルマが見えるだろう、気が付くだろう」とは思わずに、横断歩道やガードレールの隙間、四つ辻等から子どもは飛び出してくるという危険性を常に意識する必要がある。

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コロナ禍での交通事故発生状況-2021年9月
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