多様なロボット技術が拓く我が国未来の労働環境
~省庁等共催の「第9回ロボット大賞」、審査結果発表~

概要

  • 経済産業省は3月11日、第9回ロボット大賞審査結果を発表。経済産業大臣賞にはFA/産業ロボット大手ファナックの“協働ロボットCRX”が選ばれたほか、共催各省庁等も大臣賞や長官賞等を発表した。
  • ロボット大賞は経済産業省、及び(一社)日本機械工業連合会が幹事となり、総務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、そして農林水産省も加わる共催形式。
  • 経産省のニュースリリースサイトからリンクする「第9回 ロボット大賞 THE 9TH ROBOT AWARD」によると、同賞は『我が国のロボット技術の発展やロボット活用の拡大等を促すため特に優れたロボットや部品・ソフトウェア、それらの先進的な活用や研究開発、人材育成の取組みなどを表彰する制度』。2006年度に第1回を開催、今回で9回目となっている。

【公募期間/応募数】2020年4月7日~8月31日/131件 【審査】第9回ロボット大賞審査運営委員会(委員長:淺間一東京大学教授)、審査特別委員会(委員長:川村貞夫立命館大学教授)
*モニタリング期間:2021年2月1日~3月15日( 担当:中野 直哉

公表情報タイトル:第9回ロボット大賞が決定しました!
発信元:経済産業省 製造産業局 ロボット政策室 2021年3月11日

経済産業大臣賞ほか、現場移動等の作業軽減等に関連する各省庁のロボット大賞

①経済産業臣賞 ファナック 協働ロボCRX

直感的操作が可能でロボットに不慣れな企業への導入促進を期待。

②厚生労働大臣賞 FUJI

移乗サポートロボットHUG T1-02
介護負担軽減がテーマ。ニーズが強いが開発が少ない排泄介助用。競合の少なさが強み。

③農林水産大臣賞 inaho

農業従事者のニーズを丁寧に反映した自動収穫ロボ。RaaS(Robot as a Service)のサブスクビジネスモデルが評価された。

④中小・ベンチャー企業賞(中小企業庁長官賞)Doog

協働運搬ロボット「サウザー」シリーズ
LiDARで人を追尾して走行し、狭い場所でも障害物をよけてどこでも作業者についていく。自律走行も可能。

出所)「第9回 ロボット大賞」公式サイト『受賞一覧』

これらのほか、総務大臣賞は家族型ロボット、文部科学大臣賞ははやぶさ2プロジェクトチーム/MINERVA-Ⅱプロジェクトチーム、国土交通大臣賞はトンネル施工ロボット等が大賞を受賞している。当「モビリティ情報モニタリングNo.28」の海のモビリティに関しては、Team KUROSHIOの“母船レス海底調査を可能とする洋上・海中ロボットシステム”が審査員特別賞を受賞。受賞者紹介動画はこちら

当社の視点

ファナックの受賞は前回2018年に次ぎ2回連続。同年はトヨタも藤田医科大学とともにリハビリ支援の“ウェルウォーク WW-1000”で厚生労働大臣賞。またソフトバンクロボティクスのPepperが総務大臣賞を受賞したのは2016年の第7回ロボット大賞で、同年にはCYBERDYNEの治療用ロボット、HALが厚生労働大臣賞を受賞している。今回大手とともに大賞を受賞した創立数年の鎌倉本拠のinahoや、つくば市のDoogは農業や工場での労務軽減といった現場の悩み、社会課題の一つに寄り添ったもの。大手や起業家、ベンチャーの知恵を集めれば、我が国の新次元の労働環境の構築が期待できる。意義の大きなアワードだ。

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第26回 2020年の交通事故の主な特徴 (その1)
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第29回 65歳以上の歩行中における交通事故
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