2020年11月の宿泊施設の稼働率は46.2%と前年比-19.4%まで回復
~「Go Toキャンペーンの政策効果検証の一考察」~
概要
- 2020年11月の宿泊施設の稼働率は46.2%と前年比-19.4%まで回復、日本人延べ宿泊数は、延べ3406万人と前年度比-16.1%まで回復した。最悪だった5月時点の-81.6%からは大きく持ち直したことになる。弊社関連記事
- 旅行業界における消費額は、2018年で27.4兆円であり、雇用誘発効果は239万人(波及効果を含めた雇用誘発効果:441万人)とされるため、事業維持・雇用確保の観点からは「Go Toキャンぺーン」は機能したといえる。
- 宿泊施設の稼働率は施設別にみると、全体比で、旅館は、リゾートホテルの回復幅は大きい。
- 「Go Toキャンペーン」の再実施は感染対策が前提。またポストコロナによるライフスタイルの変化への対応も今後課題となる。
*モニタリング期間:2020年11月1日~2021年1月31日
公表情報タイトル:「宿泊旅行統計調査(令和2年11月・第2次速報、令和2年12月・第1次速報)」
1月29日発表:宿泊旅行統計調査
発信元:国土交通省総合政策局物流政策課/道路局企画課道路経済調査室
2021年1月29日発表
発表内容
- 全体値では稼働率は46.2%で、前年度比-19.4%まで回復した。
- ・客室タイプ別に回復に差がある。
レジャー利用中心の旅館・リゾートは前年度並みに迫る回復した。
その他は、回復が遅れている。
※緊急事態宣言が発令された1月以降は、5~7月並みの非常に低い数字が予想される。
当社の視点
■「Go Toキャンペーン」施行下で、客室タイプ別に、稼働率の回復に差が出たことの主な背景要因は2つあると考えられる。
- 1つ目は、政策の効果である。「Go To キャンペーン」は、割引率が高く、高い宿に泊まった方がメリットをより多く享受できるため、旅館やリゾート・ホテルという高価なセグメントには効果が大きく表れた。
- 2つ目は、外部環境にある。出張のオンライン会議化、外国人旅行者不在による需要の低下である。
■今後の課題・対策を上記2点に対応させる形で整理した。
- 「Go Toキャンペーン」の効果が確認された旅館やリゾートホテルは、国や自治体に向けてだけでなく、国民的理解を広める安全・安心対策を行い、感染対策の取組みをアピールすることで再度の何らかの促進策実施につながる。
※MaaSなどの移動を把握するためのアプリとの連携による移動行動データの把握・活用なども選択肢の一つである。 - 出張者利用向けのビジネスホテルや都市部に立地するシティホテルは、出張の減少や外国人旅行者の減少という中長期的な構造的な問題を抱える。感染症は今後も起きうる。サテライトオフィス・インキュベーション施設化などシナジーが発揮できる施設としての活用をはじめとし新たな収益源の模索や新規顧客層の開拓が求められる。
■安全対策は大前提であるが、新型コロナウイルスがなければ、旅行を楽しみたいというニーズは明確になった。
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2020年11月の宿泊施設の稼働率は46.2%と前年比-19.4%まで回復
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関連情報
・宿泊旅行統計調査(令和2年11月・第2次速報、令和2年12月・第1次速報)
・観光庁による旅行消費による経済波及効果
・弊社関連記事「2020年度4-6月の国内旅行消費額は前年同期比83%減」
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