日本式コールドチェーン物流サービス規格の海外展開が本格化
~国交省が同規格のASEAN展開・普及に向けたアクションプラン策定を主導~
概要
- 現行の「総合物流施策大綱(17年度~20年度)」では、アジアの物流需要を取り込むために、日本式コールドチェーン物流サービス(※)の国際標準化や普及を重要施策と位置付け、検討を進めてきた。
- 20年6月に(一財)日本規格協会のコールドチェーン物流サービス規格(JSA-S1004:下記)が発行されたことを受け、同年11月、国交省により同規格をASEANに効果的に普及するための戦略等を議論する普及検討委員会が設置された。
- 近年、ASEANでは所得向上に伴う食生活の多様化等によりコールドチェーン物流需要が高まりつつある。一方、不十分な温度管理による食料廃棄等の課題も多く、同規格の普及により、ASEANコールドチェーン市場の健全な発展や、日系物流事業者の同地域への進出が拡大する効果等が期待される。※コールドチェーン物流とは・・冷凍・冷蔵貨物の品質を保持するための低温物流
*モニタリング期間:2020年11月1日~11月30日
公表情報タイトル:日本式コールドチェーン物流サービス規格のASEANへの普及に向けた議論を開始します
~第1回コールドチェーン物流サービス規格(JSA-S1004)に関する普及検討委員会の開催~
発信元:国土交通省総合政策局参事官(国際物流)室 2020年11月2日
1.「普及検討委員会」設置の狙い
1)「包括的」な普及戦略の策定
- 物流・運送事業者、関連業界団体、経産省、農水省を加えた、オールジャパン体制での国際標準化に向けたアクションの検討
2)個別対象国の物流事情に応じたアクションプランの策定
- 特に重点5か国(インドネシア・タイ・フィリピン・ベトナム・マレーシア)へ規格の普及に向けた具体的な取組策を検討
2.期待される成果
1)現地物流事業者のサービス品質の向上
- ASEAN地域におけるコールドチェーン物流市場の健全な発展による食品廃棄問題の軽減、グリーン/ホワイト物流(SDGs)等の実現に向けた活動計画の具体化
2)日系企業の事業機会・国際競争力の増大
- 日本の物流事業者及び物流機器メーカー等が参入しやすい事業環境の醸成、物流システム、規格・基準及び技術の有機的な活用による、高品質で環境に優しいコールドチェーンの構築
当社の視点
1)「JSA-S1004」のASEAN地域への普及、定着化により、
①ハード面:トラック、保冷架装、冷蔵・冷凍設備 等
②ソフト面:輸送管理システム、人材教育 等
の物流に関わるバリューチェーン全体への幅広い波及効果が期待できる。
2)一方、「ASEAN経済共同体(AEC)」の進展による、国境を
またぐクロスボーダー物流の活性化も視野に、「認証」体制の整備の動向にも注目する必要がある。
参考:「JSA-S1004」とは
- 正式名称は、「コールドチェーン物流サービス-低温保管サービス及び低温輸送サービスに関する要求事項」
- 「日ASEANコールドチェーン物流ガイドライン」をベースとする事業者間(BtoB)のコールドチェーン物流サービスに関する日本の民間規格
- ASEAN諸国において倉庫事業者及び運送事業者が低温保管及び低温輸送に関する作業を行うに当たって考慮すべき事項が盛り込まれている
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日本式コールドチェーン物流サービス規格の海外展開が本格化
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関連情報
・「日本の高品質物流サービスを国際規格化して世界で戦う ~アセアン地域でのコールドチェーン物流事業を強化・拡大へ~」(20.8.13)
・「小口保冷配送サービスに関する国際規格ISO23412が発行されました~日本式コールドチェーン物流の海外展開を目指して~」(20.6.3)
・「日ASEANコールドチェーン物流ガイドライン」の普及・促進へ~ASEANへの日本型コールドチェーン物流の展開に向けて~」(18.12.25)
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