2020年度4-6月の国内旅行消費額は前年同期比83%減
~モビリティ産業を含む観光関連産業は回復が急務~
概要
- 2020年9月18日に公表された旅行・観光消費動向調査によれば、2020年4-6月期は新型コロナウイルス流行やそれに伴う緊急事態宣言発出により、国内旅行消費額は、1兆40億円(前年同期比83.3%減)と大幅に減少した。
- 同調査によれば、交通費は3割を占める。そのことから航空・鉄道・バス・タクシーといったモビリティ産業にも大きな打撃となっていると推察される。
- 2020年10月1日より、「Go To キャンペーン」の対象地域に東京も追加され、全国に拡大となった。観光政策は、菅総理大臣が官房長官時代から力を入れており、今後も政権の中心的な政策となることが予想される。モビリティ産業を含め、関連する観光産業は、政府の施策を念頭に入れながら事業戦略を立てることで、より早期の立て直しが期待される。
*モニタリング期間:2020年7月1日~10月1日
公表情報タイトル:旅行・観光消費動向調査 2020年4-6月期(速報)
発信元:観光庁観光戦略課観光統計調査室
2020年9月18日
調査結果
1.日本人国内旅行消費額
- 前掲のとおり前年同期比83.3%減少の1兆40億円となった。
2.日本人国内旅行者延べ人数
- 前年同期比77.4%減の3,714万人となった。
- 緊急事態宣言解除後の6月は前年同期比64.4%減となっており、4・5月から少し持ち直している。
3.日本人国内旅行の1人1回当たり旅行単価(図表)
- 前年同期比26.0%減の27,036円となった。
- 旅行単価は、2018年1-3月期以降上昇を継続していたが、減少に転じた。
当社の視点
- 「Against コロナ」から「With コロナ」へと変化したことで、人々の移動総量は戻りつつあり、観光消費促進政策である「Go Toキャンペーン」等の後押しも加わったことから、観光消費額は一定程度回復をすることが予想される。
- 一方で、感染拡大に対する懸念は依然として大きく、感染対策の徹底が求められる(既に、鉄道などモビリティ産業で実施中)
- また、旅行者数の回復は感染拡大懸念がある限り、一定程度で頭打ちする可能性が高い。旅行単価を上げる取組みや新たなビジネスモデルの構築が求められる。
- 菅総理大臣が官房長官時代に「第38回観光戦略実行推進会議」において、テレワークによって仕事と旅行を両立する「ワーケーション」や地域拠点への「サテライトオフィス」創出など後押しを明言しており、新たなビジネスモデルとして注目していきたい。
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参考資料
モビリティ情報モニタリングについて
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