内閣府の宇宙利用に関する懇談会が報告書を発表
~宇宙活用の要、ファクターSについて議論~
概要
- 宇宙の開発と利用が現在社会に与えている便益、さらにポストコロナ時代の将来の社会への貢献の可能性について、専門家が議論する場として、内閣府の宇宙開発戦略推進事務局が事務局となり、内閣府特命担当大臣が出席する形で、今年7月から9月にかけて懇談会を5回開催し、今回報告書が公表された。
- 宇宙を巡る国際競争が激化していること、民間企業の技術力が高まっていること、日本の自立的宇宙活動を確保していく必要性が高まっていること、20~30年後の社会に宇宙が果たす役割について長期的ビジョンを持つことが必要との認識があること等が、懇談会開催の背景にある。
(宇宙利用の現在と未来に関する懇談会の報告書はこちら)
*モニタリング期間:2020年8-9月
公表情報タイトル:「宇宙利用の現在と未来に関する懇談会」
発信元:内閣府 2020年9月11日
懇談会報告書のポイント
- 宇宙利用の現在を整理
準天頂衛星システム「みちびき」の2018年運用開始によりスマホやカーナビの位置情報の精度が向上した。放送サービスの1割、また船舶・航空機への通信や緊急通信が人工衛星へ依存している。又、地球観測リモートセンシング分野で衛星が利用されている。 - 2040-2050年頃の社会システムへ期待
人口減少・高齢化、温暖化及びそれに伴う災害が深刻化する。こうした問題に対し、分散型の都市システムが構築され、全てがネットワークで繋がり、P2Pの超高速交通手段でリアル社会にも対応するSociety 5.0の実現で、対応していることが期待される。 - 宇宙利用の未来を予想
2の将来社会に寄与する形で、宇宙システムが地上インフラと一体となってビッグデータ収集解析の一大プラットフォームになる。資源開発、月面居住など宇宙開拓が本格化する。地上技術と宇宙技術を相互に適用する。
- 宇宙利用の未来を実現するため、熾烈な宇宙開発・利用の国際競争で日本が諸外国に伍していく方策を考えること、開拓者がゲームチェンジャーになるため先頭集団に居続けること、政府は研究開発を主導し先進的な需要家になること、民間は革新的な研究開発に果敢に挑戦することが重要だと述べている。
- その要となるのが、ファクターS(ヒーロー・ヒロインの登場、国民の理解共感の拡大、投資拡大等)の存在だと報告書はいう。
出典)宇宙利用の現在と未来に関する懇談会報告書
当社の視点
- 昨今の宇宙を巡る環境変化を踏まえた宇宙基本計画の改訂が、2020年6月に閣議決定された。安全保障、災害対策強靭化、宇宙探査による知の創造、イノベーションなどが同計画の柱だ。安全保障面では北朝鮮のミサイル探知や中国の海洋進出監視などが盛り込まれている。外務省は2013年から毎年開催している宇宙に関する日米対話を今年8月に開催し、文部科学省は来年度予算の概算要求で、日本人宇宙飛行士の月着陸を目指す。又、内閣府と経済産業省は9月、宇宙ビジネス創出を推進する自治体として新たに福岡県・大分県を加えて6道県とするなど、関係各省庁は今、宇宙に熱い視線を向けている。
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内閣府 宇宙政策
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