【中国】スタートアップEVブランドのマーケティング活動 ~相次ぐ上海でのブランド体験館/フラッグシップ店の開設~
近年、中国のスタートアップEVブランドが相次いで誕生した。最近では、上海を中心にブランド体験館やフラッグシップ店を開設する動きがある。その狙いは何か?日系ブランドにとってどのような示唆があるか?実際に現地の店舗を訪問し、マーケティング活動の現場でどのような取り組みがあるのかを独自レポートする。
【目的/方法】
- 中国政府が推し進めるNEV(New Energy Vehicle)、ICV(Intelligent Connected Vehicle)生産誘導を背景に、EV+コネクティッド技術展開で注目される「拜腾/Byton」、「薇来/NIO」、「小鹏/Xpeng」、「威马//Weltmeister」のブランド体験館/フラッグシップ店を訪問。
- 同4ブランド/店舗は、18-19年にかけて上海で相次いで開設する動きがあり、どのような狙いで、どのような取り組み(ハード/ソフト面)があるのか、独自の視点で各店舗を比較。
- 同4ブランド/店舗を題材に、今後、日系ブランドがどのような取り組みをしていくべきかの示唆を得ようとするもの。
【結果/示唆点】
- 今回訪問した4ブランド店舗を比較すると、いずれも「ターゲットを明確」にし、「売り方を変えよう」とする店づくり、スタッフ対応であったと思われる。
- 当然のことながら、日系ブランドは「外資系ブランドの一員」(お客様選択の1つ)として、「セールス・マーケティングは中国の消費者をよく知っている現地とともに、方針・監督・教育・トレーニングは本部に集中」(Byton COOによる対メディア発言)を徹底していく必要がある。
- このような新しいブランドとの競合・差別化を検討する上で、以下数点の示唆を得ることができよう。
- 企画段階からブランドコンセプト、ターゲットをしっかりと立てておき、お客様との接点(第1印象)を重視する。リアル店舗においても、コンセプトを体現したマテリアル(ハードの質感)、スタッフ柔軟性(ソフトな対応)により、お客様の期待を裏切らず、お客様と一緒になって関係を築く姿勢が伺える。
* 今回訪問した店舗においては、今後、お客様間の情報をつなげるプラットフォームとしての機能も期待できよう。 - 各ブランドともに「ブランド体験/フラッグシップ店」と表現するが、技術展示物はそれほど多くない。むしろ、ソフト面の強化により、技術理解から販売、販売後までを一貫して対応していく姿勢がある。
- 現地パートナーとの付き合い方では、これまでの「授権的経営」からの脱却・転換が必要で、有力な地場資本とセールス・マーケティングの考え方を体現していく取り組みが急務となる。
- 中国の「規模感」や「スピード感」への対応を地場ブランドとの比較で考えると、多様な電動パワートレイン(または商品化)での早急な差別化は課題が大きい。むしろ、中国からグローバルに向けた取り組みとしての活動を実践していくことが手始めともなる。
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株式会社 現代文化研究所 八杉 理 (やすぎ おさむ)
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