コロナ禍での交通事故発生状況-2021年8月
概要
- 交通事故発生件数は、前年同月との比較では、3月までの減少傾向から4~6月は増加に転じたが、7月は前年とほぼ同水準、8月は4%の減少となった(図表1)。
- 交通事故死者数は、5月までの減少傾向から、6月は昨年と同数になり、7月は前年比で39人増の120%となったが、8月はやや減少した。(図表2)
- 緊急事態宣言が発令されている地域もあるが、2019年比での週単位での移動人口減少幅は、8月第2週を除き、4月以降、昨年を下回る傾向となっている
(図表3)。
〔トピック〕横断中の死亡事故の発生状況
- 8月までの2021年中における横断中の死亡事故は324件で、全体の死亡事故1,585件の20%と、前年よりも「横断中死亡事故件数」、「事故全体に占める割合」のいずれも減少したが、「横断歩道」での死亡事故は過去5年間、死亡事故全体の6~8%で推移し、歩行者の信号無視も含まれているとはいえ、決して低い値とは言い難い。(図表4)
一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)調査結果
- 図表5は、一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が、2020年8月に「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況」について調査した結果である。道路交通法38条1項により、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、「車は一時停止しなければならない」と定められているが、約8割のクルマが停止していない。
『利用可能性の誤謬』(“ギャンブラーの誤謬”、“モンテカルロの誤謬”)
「ある事象を的確に認識せずに、慣習や印象によって対処してしまうと、いずれ大きな間違いを起こしてしまう」という意味の警句である。自分のクルマから見た相手が歩行者であれば、「横断する気はない」「飛び出さないだろう」のような推測や思い込み、相手が車両ならば、「止まってくれるはず」といった期待感で判断してしまうこと等があてはまるが、そこに交通事故の危険性が潜んでいると考えるべきなのかもしれない。
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コロナ禍での交通事故発生状況-2021年8月
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