2050年カーボンニュートラル実現とグリーン成長戦略
~国交省は14重点分野の一つ、自動車・蓄電池産業の強化・発展に取り組む②~

概要

  • 国土交通省は、グリーン成長戦略の実行計画のうち、自動車・蓄電池産業分野でのカーボンニュートラル実現に向けて、3月に「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」を立ち上げ、関係業界からヒアリングを行い、具体的施策を検討中である。
  • 関係ヒアリング先は、自動車(四輪、大型、二輪、軽自動車等)、ユーザー(運輸、タクシー、自治体等)、産業(電池、部品、販売、整備等)、インフラ(充電・充填、石油業界等)などで、これまでに計3回の検討会を開催し、ヒアリングを実施。
  • 第1回検討会では、地方自治体、水素ステーション、電動車用インフラの関係者、第2回では石油業界や、トラック運送、バス、軽運送業界、第3回では中古車、輸入車、二輪車、レンターカー、電池サプライヤー、物流などの業界関係者からのヒアリングを実施している。その中から、今回は石油、トラック、バス業界のヒアリングを取りあげる。

*モニタリング期間:2021年4月3日~4月25日( 担当:清田麻喜子

公表情報タイトル:「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」(第3回)の開催について

発信元:国土交通省自動車局安全・環境基準課 2021年4月14日

各業界からのヒアリング(概要)

<石油業界>

取組みの方向性

  • 各社事業活動でのCO2削減、供給する製品でのCO2削減、CO2削減・吸収源対策に取組む。

取組み現状

  • 既存対策の推進強化、および2050年までの実用化を目指して革新的技術を開発中。
    -燃料転換の推進や、再エネ・ゼロエミ電源の活用・開発促進、第1世代バイオ燃料の活用と次世代バイオ燃料の導入、環境配慮型製品の提供、水素/EV充填・充電インフラ整備等
    -CO2フリー水素の技術開発と活用や、カーボンリサイクルの技術開発等

課題

  • 革新的技術を開発し実用化するための、長期目線での多額の資金確保、税制支援等が必要。

<トラック運送業界>

取組みの方向性
「トラック事業における低炭素社会実行計画」において、輸送トンキロあたりCO2排出原単位削減目標値を設定して取組む。

  • 20年度ー05年度比22%減(フェーズ1)
  • 30年度ー05年度比31%減(フェーズ2)

取組み現状

  • 高車齢のディーゼル車を中心に、先進環境対応車に順次切り替え。
  • 輸送効率化の推進(実車率,積載率の向上、共同輸配送)、エコドライブの推進。

課題

  • 目標達成には次世代車への転換推進が必要。
  • 高額な車両価格、充電・充填インフラ拡充、燃料(電気)料金の引下げ、車両導入インセンティブ(税制等)が課題。

<バス業界>

取組みの方向性
「バス事業における低炭素社会実行計画」において、CO2排出原単位目標値を設定して取組む。

  • 30年度-15年比6%削減

取組み現状

  • 電動車バス(HV/PHV,CNG,燃料電池,電気)の導入を推進。

課題

  • 電動車導入には、高額な車両価格、充電・充填インフラの整備・拡充、メンテナンス費用と整備士の教育・育成などが課題。

出典)カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会公表資料より抜粋作成

当社の視点

  • 改めて課題として指摘された車両電動化の壁となっている車両価格とインフラ整備の解決や、石油業界が推進する、革新的な脱炭素エネルギー・技術を開発し社会実装し、エネルギーの新たな産業とするために、求められる政府の支援スキームこそ、カーボンニュートラル実現のカギを握っているといえる。

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2050年カーボンニュートラル実現とグリーン成長戦略②
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関連情報

・カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会(国土交通省)
・「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」(第2回)の開催について(国土交通省)
・「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」(第3回)の開催について(国土交通省)
・国土交通省関係業界の自主的取組の進捗状況(国土交通省)
・低炭素社会実行計画―産業界の地球温暖化対策―(経済産業省)
・2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(経済産業省 令和2年12月25日)

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第32回 2050年カーボンニュートラル実現とグリーン成長戦略
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