2050年カーボンニュートラル実現とグリーン成長戦略
~国交省は14重点分野の一つ、自動車・蓄電池産業の強化・発展に取り組む①~

概要

  • 菅総理大臣が所信表明演説で2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会を目指すと宣言したことを受け、2020年12月の成長戦略会議では、『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』が報告された。
  • 同報告書では、グリーン成長戦略を実施するうえでの、主要な政策的ツール、および産業として成長が期待でき、かつカーボンニュートラルの実現に不可欠な重要分野を14特定し、分野ごとに課題と今後の取組みを整理した実行計画が記された。
  • 国土交通省では今年3月、「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」を新たに立ち上げ、この重点14分野のうち、運輸部門として、自動車・蓄電池産業分野での着実な実行に向けて、目標や具体的施策の深堀り検討に入った。そのための関係業界へのヒアリング、意見公募を開始した。

*モニタリング期間:2021年3月1日~4月2日( 担当:清田麻喜子

公表情報タイトル:カーボンニュートラル実現に向けた自動車分野の取り組みを検討します~「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」を新たに設置~
発信元:国土交通省自動車局安全・環境基準課 2021年3月5日

<自動車・蓄電池産業分野:実行計画>

(『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』より抜粋)
大目標:2050年の自動車のライフサイクル全体でのカーボニュートラル化を目指すとともに、蓄電池産業の競争力強化も図る

1)電動化の推進・車の使い方の変革:EV等電動車普及の加速と、電動 車関連技術、サプライチェーン強化で一体的成長を実現

  1. 30年代半ばまでの新車(乗用車)の電動車100%化。
  2. 10年間は電気自動車導入推進に注力し、産業サプライチェーンとモビリ ティ社会を構築して世界をリード。軽自、商用車の電気自動車、燃料電 池車への転換には特段の対策も講じる。
    -想定施策:燃料規制活用、公共調達推進、充電・充填インフラ拡充、導入支援・買い替え促進等

2)燃料のカーボンニュートラル化:合成燃料の大規模化・技術開発支援

  1. 50年にガソリン価格以下のコスト実現。
  2. 革新的な新規技術・プロセスの開発、商用化に向けた一貫製造プロセス確立のための応用研究の実施。

3)蓄電池:大規模化・研究開発支援、蓄電池ビジネスの創造

  1. 30年までのできるたけ早期にガソリン車と同等な経済性の電気自動車用車載電池バック(1万円/kWh以下)の生産。
  2. 30年以降での次世代電池の実用化。

4)水素産業:水素は発電・産業・運輸など幅広く活用できる脱炭素化のカギとなる技術、実用化で産業化

  1.  FCトラックの国内市場立ち上げとFC車両輸出、等。

■重要分野の整理


出典:報告書『2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略』

当社の視点

  1. 欧州や中国の、戦略的な電動車普及推進から出遅れた日本は、世界と伍すための正念場に居る。車両低価格化や充電インフラの整備は急務だが、電池等電動車関連を広く包摂するサプライチェーン・バリューチェーンをどのように構築し、何を世界に通用する競争力とできるのか、日本産業が蓄積した強みを活かして狙いすました戦略と施策実行が求められている。
  2. そのためにも、オールジャパンの対応が不可欠で関係業界へのヒアリングを通じた民の取組みや要望への傾聴が大きな手掛かりとなろう。

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関連情報

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(経済産業省 令和2年12月25日)
カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会(国土交通省)
(資料抜粋)
グリーン成長戦略の実行計画(自動車・蓄電池産業分野等)の改定に向けた意見公募を実施します(国土交通省)
「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」(第2回)の開催について(国土交通省)

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