幅広い活用が期待される「海における次世代モビリティ」
~国交省においてASV、AUV、ROV等の次世代モビリティの実用化を検討~
概要
- 「陸・空」と同様、「海」の分野でも、ASV(Autonomous Surface Vehicles;小型無人ボート)や海のドローンとして活用が期待されるAUV (Autonomous Underwater Vehicle;自律型無人潜水機)、ROV(Remotely Operated Vehicle;遠隔操作型無人潜水機)等の「次世代モビリティ」の開発、実用化が進展※しつつある。
- 特に、沿岸地域では過疎化・高齢化や港湾設備の老朽化等の課題が山積し、さらに「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応が必須となる中、次世代モビリティ技術の活用による漁業振興や持続可能な海洋資源開発等が期待されている。
- そこで、国交省は20年11月に「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」を立ち上げ、21年3月までに全4回の協議を行い、海における次世代モビリティの活用を促進するための基本的方向性をとりまとめる予定である。
※20年代の商用AUVの市場規模(含む検査サービス)は、約5千億円と見込まれている。
*モニタリング期間:2021年2月1日~2月25日( 担当:山元 哲史)
公表情報タイトル:海のドローン等の活用により、沿岸自治体の課題解決を目指します~海における次世代モビリティに関する産学官協議会(第3回)の開催~
発信元:国土交通省総合政策局海洋政策課 2021年2月17日
1.「海における次世代モビリティに関する産学官協議会」設置の狙い
- 「陸・空」と比較してやや劣後する「海」の次世代モビリティ実用化に向けた課題の洗い出し
- 関連する技術シーズとニーズのマッチングのための情報交換
- 「海」の次世代モビリティ活用による課題解決、海洋産業活性化等への基本的方向性の提示
2.「海における次世代モビリティ」へのニーズとその課題
- ニーズ
①漁業振興(省人化、漁場探索、養殖場保全等)
②港湾インフラ整備
③海洋資源エネルギー活用(洋上風力発電、レアアース探索等)
④海洋ゴミ(プラ)・生態系保全対策
⑤減災・人命救助・沿岸警備
⑥離島物流
⑦水中遺跡(文化財)探索 等 - 課題
①「陸・空」と比較して少ない民間資本投資(外資依存)
②「安全要件」「運用要件」「性能評価基準」等が未定
③高コスト・低汎用性
④機器の長時間稼働の際の性能(電源、通信環境、操作性等)
3.課題解決に向けた方向性(第3回会議終了時点)
- 民間投資を呼び込むためのビジネスモデルの確立
- 事業運営を行うためのリスク評価や保険制度の導入
- 陸域の通信ビジネス(通信、測位、電源等)の取り込み 等
当社の視点
- )周囲を海で囲まれた「海洋国家日本」として、海洋産業振興が重要命題になるが、同協議会には、「陸・空」と一体化したシームレスなモビリティ社会の形成も視野に入れた方向性の提示を期待したい。
- )「海における次世代モビリティ」の実用化に向け、世界のトップを走る、「陸」(自動車)のモビリティ技術(IoT、AI、ロボティクス等)をこれまで以上に活用することが理にかなっており、関連企業等にとって新たな事業領域を開拓するチャンスとなり得る。
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